翡翠九番地

特撮と舞台好きのブログ ※すべて個人の感想です

「仮面ライダードライブ」総括

 仮面ライダードライブお疲れ様でした。毎週楽しかったです。

 ドライブ、魅力的なキャラクターもいて楽しかったし色々拗らせたりもした。でも言いたいこともたくさんある。そのへん1回言葉にしないとすっきりしないので「ドライブ総括」として書きなぐろうと思います。最終話(特別編)は4号でしか関わってない毛利さんなので、基本的に47話までについてです。特別編については後ほど。

 

 

・主人公が弱い

 戦闘力ではなく、キャラが。最後まで進ノ介がどういうキャラクターなのかイマイチわからなかったです。スカした野郎かとおもったら熱血になったり人情派になったり。初期の軽口叩く進ノ介と中盤以降の進ノ介ってちょっと違うキャラみたい。それがいいか悪いかは、よかったのかな?後半のキャラの方が竹内くんに合ってたし。ただ今までの主人公が脚本家やPがイメージするキャラクターにぴったり合う人を選ぶ、合う人が現れなければキャラクターを変えるとまでして役者とキャラクターを合わせてきたのに最初の段階でうまくいってないなぁとは感じました。(過去にキャラと全く違う性格の人もたくさんいるけど、芯は似ていたりシンクロしていったり。え、強者?性格は違うけど演じきったから…)

 因縁とか他のキャラクターとの関わりも弱かったなぁと思います。蛮野の息子で因縁背負ってる剛やプロトドライブでロイミュードでナイスボケなチェイスと比べるとどうしてもキャラも因縁も薄く感じる。仁良編は進ノ介のための因縁物語だったんだろうけど、そこで因縁を消化してしまったから最終章ロイミュード編での疎外感が半端なかった。001の件は最後にやる予定だったけど「主人公が壁にぶつからなきゃ面白くない」と早めたそうだけど、最後に主人公が疎外感感じるくらいなら予定通り最後にやったほうが良かったんじゃないかなぁ。もしくはラスボスに対して直接の因縁がなくても剛チェイスロイミュードたちとの関係を丁寧にやってればそれが因縁になったと思う。どちらの関係もイマイチ掘り下げられなかったのが因縁弱く感じてしまう原因かな。

 

・ぶつ切り感

 主に新展開以降章立てて進んでいったけど、章ごとのつながりが希薄でぶつ切り感がすごかった。父親関連、ロイミュード関連、特異体質等ぽっと出てはそれ以降出てこない設定がとても多かった。章ごとにテーマが違うといえばそうだけど1年シリーズなんだからもう少し前フリがあれば後付け・テコ入れ感を感じなかったと思う。途中で脚本が変わってはっきり路線変更したブレイドは前半で提示された伏線・布石を使って後半をまとめ上げたし、響鬼は賛否あるけど前半丁寧に描いてきた明日夢響鬼さんの物語を絡めてまとめるために桐矢という劇薬を投入した。終盤の展開に前半・仁良編がほとんど絡まないから今までの展開に意味があったのかな?と少し考え込みました。

 ポンポン新要素が出てくるもんだからセリフも説明台詞になるし常に思いつきでやりたいことを詰め込んでいるように見えた。決まっていたなら伏線・布石を撒いておくとか、変更があるにしても今ある要素を活かすのが作り手の腕の見せどころじゃないかと思います。

 

・制作側の都合が見える

 因縁は剛に集中しているのに主人公である進ノ介を立てるために不自然なまでにライダーの資格・ハートが拘る等進ノ介に正の部分が集められていると感じました。あと好みの問題でもあるけど登場人物がほとんど主人公のイエスマンなのは頂けません。主義や主張が違うキャラでさえ進ノ介とぶつからないのは不自然。

 チェイスをライダーにしたい!→不自然なまでにチェイスに拘る霧子、今は進ノ介の話!→剛放置、ロイミュードとの共存路線→突然ロイミュードに味方し出す進ノ介等キャラクターの心情がよくわからない流れが多々ありました。やりたいシーン・展開のために他キャラクターを蔑ろにしたり、過程をすっ飛ばしているなぁと感じます。やりたいことはわからなくもないけどそのためにキャラクターを動かしている感じ。行きたい方向があるならそのためのエピソード・キャラ描写をすべきだと思います。キャラクター・人間を描いてそのキャラクターが結末を決めるタイプの書き手(キャラが自分で動き出すってやつ)と物語の方向性を決めてそのためにキャラクターを描くタイプの書き手がいるけど、どちらにしてもキャラを描く必要がある。どうも生きてる人間じゃなくて盤上の駒に見える時が多かった。

 

・刑事でライダー

 主人公が警察というのをうまく活かせてなかったように感じました。むしろ足を引っ張っていた。

 ロイミュードにや身内への入れ込みは一般人だったらあまり違和感を感じなかったんだろうけど、進ノ介が警察だからちょっとそれはまずいんじゃないだろうかと感じる場面が多々ありました。具体的に挙げると現さんの先輩・究ちゃんの見逃し、あながち冤罪でもない仁良の告発が仁良逮捕後スルー、突然メディックをかばい以降結果的にロイミュードに協力している行動等。情に流されやすい刑事の話をするなら主人公を叱れる先輩刑事や別部署の刑事がいないといけないと思う。結果身内に甘いだけという印象になっってしまいました。「法と情・自らの正義の間で揺れる刑事」とか「正義のぶつかり合い」とか警察モノならすごく美味しい話だと思うんだけどなぁ。

 組織としての警察も上手く描けてなかったと思います。特状課以外は無能どころか出番もほぼなかったからな・・・!出てきては敵に翻弄されてばかりだしあげく仁良や001がいる始末。せっかく主人公が警察なのに警察かっこいい!とまったく感じなかったのは問題だと思います。特状課ももっとそれぞれの能力を活かして捜査や戦闘で援護するとか他部署と協力するとかして欲しかった。組織のしがらみにしたって他の正義とか身内から犯罪者出して批判されるのを避けたい上層部とかもっと描き用があったんじゃないか。クウガやアギトはそのへんもっと上手く描いてたと思う。

 何度も指名手配(冤罪)されたり死亡報道されては撤回の仮面ライダーも警察も、あの世界の一般市民だったら絶対信用できません。

 ドライブには右京さん(罪は罪)、小野田官房長(主人公と異なる正義)、イタミン(協力関係の主人公以外の有能刑事)が足りないよ!

 

・「本当の悪意は人間の中にしかない」

 えぇ…(ドン引き)確かに元々の原因は蛮野だけど、ハートたちがやっていたことも十分悪だと思うけどなぁ。クリムと蛮野を殺してグローバルフリーズを起こしたのはハートたちが自分の意思で悪意を持ってやったと思うんですけど!?許しちゃうの!?虐待されてた子供が親を殺しても情状酌量はつくだろうけど、やっぱり殺人は殺人だし、関係ない人まで傷つけたらそれは同情できないよ。

 それにこのセリフ、ハートたちロイミュードの人間性も否定することになるよなぁ。作られてプログラムされただけだからロイミュードは悪くないって彼らをただの機械人形だと言っていることになりますよね。悪意は人間のせいでそれ以外はロイミュードのものってのも都合が良すぎる。共存の可能性を見出していたんじゃないの?ただの機械だから人間が正しく使えば大丈夫って共存なの?

 「悪いのは人間」ってのを受け入れなかったからハートは「お前は甘い」と言ったんだろうけど、「悪意が人間のものだろうと俺たちは俺たちの意思で行動した」と啖呵切って欲しかったな。

 共存路線なら刑事らしく「すべての元凶は蛮野だった。だがお前も罪を犯した。罪は償えばやり直せる。そうすれば人間とロイミュードはきっと共存できるはずだ」とかじゃだめだったんですかね?

 キョウリュウでもそうだったけど三条さんって敵側に愛着持ちすぎてあっさり許しすぎだと思います。好きな敵キャラを悪くないとするために既存の敵よりもっと悪い倒すべき敵を出す。ブレンやメディックもいい奴っぽく死んだのが少し引っかかる。別に罪を犯したら惨めたらしく死ね!ってわけじゃないけど、罪を自覚するとか清算する描写があるのと無いのじゃ印象が全然違う。

 

・結局ロイミュードってなんだったの?

 ロイミュードって結局なんだったの?所詮コピーの哀れな機械人形なの?感情を得て人間を超えうる者・共存できるかもしれない者だったの?その描写がちぐはぐでよくわからなかった。

 ブレンやメディックの個性がコピーという終盤の流れから、ロイミュードは所詮コピーやプログラム、しかしハートへの想いやブレン・メディック間の奇妙な感情は彼らだけのもの。元の悪意は人間でも意志を持って反抗したのはロイミュードたちのもの。ルールに厳しい真面目な性格はコピーでも剛とダチになったのはチェイスだけのもの。そう着地するのかなと思っていたら、「悪いのは人間」発言と狩野氏の「ダチ」発言で否定されてブチ切れました。そんな・・・チェイスがダチになろうとしていたことまでコピーみたいじゃないか・・・。別にロイミュードがコピー人形という結論でもいいのだけど、進ノ介がロイミュードに共感して(それも過程が雑なのでいまいち納得できなかったけど)共存を考えているという展開と噛み合っていない。結局ロイミュードとはなんだったのか、その過程と結論が最後まではっきりしなかったと思う。

 

・1年間やりたかったこと

 平成ライダーには各作品テーマややりたいことがあったと思うんですけど、ドライブが1年間通してやりたかったこと・伝えたかったことがさっぱりわかりません。車、警察、親子、異種族との共存…どれも中途半端で1年通してやりたかったことには感じない。主人公の成長とするにもキャラがブレブレですし。映画もだけど面白そうな要素詰め込んで引き算や取捨選択、要素同士をすり合わせることができてないと感じました。

 設定や描写を丁寧に描くタイプでもこまけえことはいいんだよ!俺はこれをやりたい!と勢いで描くタイプでもないしどっちでもないのでとってもどんよりした。どっちのタイプでもないというか、どっちにもなりきれないというか。

 どうもこれをやりたい!という熱意が伝わってこないんですよね。警察にした!車をやりたい!じゃあそれは描けてるか?と言ったらNO。これをしたい、で止まってそこから先、どうやったらそれをできるか?ってとこに踏み込めていないと思います。雑誌やサイトのインタビューを見るとあぁやっぱり・・・と思うことも多々。粗がたくさんあってもいい、やりたいことを貫けばそれが魅力になります。少なくとも私は飛び抜けた魅力があれば他は多少気にしません。作り手にはそういう熱意をもって欲しいです。

 

・最終話「ゴーストの事件」

  3ライダー共闘、進ノ介の再スタート、ゴースト活躍とノルマもこなしてすっきりまとまっててすごくよかった…!ベルトさんの幻影を断ち切って刑事として悪と戦う決意をする進ノ介、感情の変化が丁寧でよかった。特状課もしっからサポートしてたし現さんはいい先輩刑事だったし。「人間は悪い」で止まらないで「人間の中の悪はなくならない。でも俺は戦い続ける!」と決意していたのがとても好印象。これ特別編じゃないよ!ちゃんと最終回だよ!

 

 

 結論としてドライブってすご~~~~~くもったいない作品だったなぁ…と。部分部分で見れば熱いシーン・展開だけどつながりが雑でその間を描けてたらもっと感動したのに!というところがすこく多かった。もう終盤は毎回「もったいねぇえええええ!!!!」と唸ってたよ。剛・チェイスの関係、進ノ介とロイミュードたち、ロイミュードたちの変化…色々描写をしっかりしてたらもっとのめりこめたと思う。

 いろいろ文句言ったけどドライブ好きです。嫌いだったら文句も言わない。1年間楽しかった。感動もした。すっかり沼にもハマってますし。ずぶずぶ。チェイスさん沼にいたと思ったら剛くん沼に落ちてて気がついたら2つがつながっていたのさ。さらに言えば乾巧沼も繋がってた。555好きの4号好きなので、最後ハッピーエンドで本当に良かったと思います。辛いこともたくさんあったけど、みんなしあわせそうでよかった。進ノ介は歴代ライダーでもトップクラスの勝ち組だし、剛は明るい笑顔だったし。剛は決着後旅に出て歴代旅人ライダーと出会うとか妄想してたら本当に旅に出て少し笑いました(泣いた)。

 

 

 なにはともあれ仮面ライダードライブお疲れ様でした!ファイナルも冬映画もVシネも楽しみです!

 来週からは仮面ライダーゴースト、命燃やすぜ!