翡翠九番地

特撮と舞台好きのブログ ※すべて個人の感想です

仮面ライダー4号 感想追記と考察 主に乾巧について

 仮面ライダー4号について付け足しともんもん考えたことを。4号全体の感想はこちらに書きました。

wahoowahoo.hatenablog.jp

 

 まず私はパラレル許容派です。クロスオーバー系は「これがないと本編の話がつながらない!」とならなければパラレルだと思ってる。だってスペックとか設定とか矛盾を気にしだしたらキリがないし。555とか映画も小説もパラレルだし。別に本編の登場人物とまるっきり別人だと思っているわけではなく限りなく本編と同じ運命をたどったその人、少し違う運命をたどったその人だと思ってる。その上で4号のたっくんについて色々考えた。

 

 

・本編とライダー大戦と4号

 オルフェノクの寿命、ブラスターのリスク、細胞崩壊促進剤の影響で本編ラストの巧はボロボロだった。崩壊促進剤打たれる前でもう手の灰化は始まっていたし目も霞んでフラフラだった。EDであの土手に寝転がって手を太陽にかざして巧は何かに驚く。夢がなかった巧が夢を見つけ、そこで本編は終わる。もうね、巧にほとんど時間がないことは明らか。夢も「世界中の洗濯物が真っ白になるみたいに、みんながしあわせになりなますように」の“みんな”には巧自身が入ってないようにも感じる。

 後味の悪さを残しつつそれでも「王の死=オルフェノクの滅亡」「巧の死」を直接描かなかったのがTV本編。最後はかなり駆け足だったし、尺の問題とかここで主人公が死んだら前作と被るとかいろんな事情もあるんだろうけど、あれは「俺だって巧に死んで欲しくなかった」という井上先生の優しさかな。あれだけ過酷な運命背負わせといてドS!うん、でも仮面ライダーというか井上脚本というか、基本的に厳しくもあり優しくもあるよね。人を殺したら報いを受けるしいいことをすれば生き残る(確率も上がる)(モブは除く。特撮とはモブ厳なのだ)。巧にわずかでも生の可能性を残したのは井上先生の優しさだと思う。あと洗濯屋トリオの中の人も「あそこで死んでしまうのは悲しすぎるから、昼寝の後は3人で帰ったことにしよう」と言っていてじーんと来た。井上先生と中の人たちの優しさを受け取って「巧は3人で平和に暮らして、穏やかにその時を迎えた」と思うことにしている。本編はあそこで終わったんだからその後は好きなように考えたっていいじゃない!

 

 でもライダー大戦で巧は生きていた。今の半田健人さんの年齢に合わせて成長した乾巧、渋くてかっこよかった。草加の死を看取ってしまったゆえに悩む巧はどこかウルフバレあたりの捨て犬たっくんみたいだったね。でも草加の描写が違ったし、本編とは少し違う運命をたどったパラレル巧が自然かなーと受け取ってた。パラレルのたっくんは生きてるんだ!と。

 GP4号では巧はあの時死んでいた。おそらく本編と同じ運命を辿りもっとも残酷な未来にたどり着いたんだろう。本編、ライダー大戦で生を描いたけど4号でははっきりと巧の死を突きつけた。あぁやっぱり、と思う反面残酷さにショックも受けた。本編で示した可能性のうち、米村さんは生を、毛利さんは死を選んだのかな。

 

 最初はそう、ライダー大戦とGP4号はパラレルだと思ってたんだけど、ちょっと考えてみたらどちらも本編と同じ運命をたどった巧でも話がつながるかもしれない。ライダー大戦の巧はメガリバース計画の影響、もしくはライダー大戦以前まで影響が及んだ時間改変マシンで生き返った存在だった、そんな解釈もできる。士が言ってた「柊と巧は同じ匂いがする」ってのはオルフェノクだからだと思ってたけど同じ生き返った者という意味でも通じる。草加の死に様が違うのは、村上さんも気になって監督に言ったら曰く「あれは悪霊が見せた幻」という設定らしい。生と死がひっくり返ったら巧はともかく真理も死んじゃうけどいいの?というのは草加本人じゃないなら納得である。確かに草加は「俺のことを好きにならない人間は邪魔なんだよ」な自分本位な奴だけど「愛する者のためなら命をかけて戦う」奴だったもの。

 4号で巧がやけにヒーロー台詞を言うのは年齢を重ねたから(それがリバース計画や改変マシンによる正しくない歴史とか生き返ったタイミングによっては捏造された記憶かもしれないっていうのは悲しいけど)+ライダー大戦での神さんや晴人との交流があるからとかそんなのもいいんじゃないかな。

 

①本編、ライダー大戦、GP4号全部パラレル

②本編→生存ルート→ライダー大戦

 本編→死亡ルート→GP4号

③本編とクロスオーバーモノはパラレル、ライダー大戦→GP4号

④本編→ライダー大戦→GP4号

 色んな可能性があるけど、はっきり示されているわけではないのだからそれぞれの好きな解釈を選べばいいじゃない。あの最終回の後、巧がどうなったかは本編では描かれていないんだから色んな可能性を選んでいいのだ。たとえパラレルだろうと色んな巧の可能性を観れるのはうれしい。「ぼくのヒーロー」を壊さなければこういう話はどんどんやってくれていいんですよ東映さん。

 

 

・歴史改変マシンについて

 GPは3号事件(仮)の解決、剛の死からおそらくしばらく経ったところで終わった。しかしその続きである4号冒頭で剛は生きている。GPラスト後に歴史改変マシンが再起動したようだけど、剛を死なせたくないという想いがマシンを動かしたのなら起動が遅すぎではないか。壊れていたから想いに反応してから起動まで時間がかかったと言われたらそれまでだけど、ちょっと考えてみます。

 

 GP最初の改変で3号が生まれ、他ライダーの歴史も改変される。その過程で巧は生き返った。GPラストで改変マシンが破壊されて正史に戻そうとする力が働いた。整理するとこんな感じか。

①3号を消す力、他ライダーを正史に戻す力→黒井響一郎はレーサーへ

②巧を消す力(本来の死亡ルートへ)←巧の生きたいという想い

③剛を生き返らせる力←巧の剛に生きて欲しいという想い

 ①は正常に機能。②の巧の想いでエラーが起きて巧生存剛死亡のGPラストへ。GP→4号の間にもう1度改変が起きて巧も剛も生きている4号時空へ。

 

 もうひとつ、本当にマシン起動の鍵は巧だけだったのか。1話から3話まで、歴史改変が起こったタイミングを見てみると剛や進ノ介の死に霧子が泣き崩れるところだ。最初は霧子の想いが原因で改変が起こっていると思っていたけれど、2話のラストで霧子がまだ現場にいない時点、侑斗死亡のところからマシンは起動している。でも改変が発動するのは霧子の目の前で進ノ介が死んだ時。巧本人の死んで欲しくないいう想いも強いけど、悲しむ霧子に影響されたのではないか?555本編でも長田さんの死に薄々気づいていても気丈に振舞う啓太郎や草加の死にショックを受ける真理を悲痛な表情で見ていた。人の死そのものもそうだが、それで誰かが悲しむのを見たくない、というのもあるんじゃないか。剛生存ルートに改変されるまでタイムラグがあったのは、GPラスト時空のどこかで巧が残された霧子を見て、そこで強く想ったからかもしれない。

 

 

・どこまでがショッカーの計画なのか

 4号ではショッカーはおそらく巧がマシンを動かしているとわかって行動している。世界征服を進める→ライダーが邪魔をしてくる→負けても1人でも殺せばループ→おそらくループの外にあるショッカー基地内で兵力増強、4号を完成させる→ショッカーの戦力だけ増していく→いずれライダーはジリ貧でショッカーの完全勝利、とかそんなところだろうか。時間を巻き戻すためにはその鍵である巧以外を殺す。だから巧以外の3人が2話までで死んでるのに巧は最期まで生き残ってるんですね。

 2話終了の時点で霧子と巧以外は1度以上死んでいる。霧子の想いが鍵で巧は2話冒頭のシグナルファイズもあるし何かしら絡んでるのかなーと。3話冒頭の繰り返される戦いの中でファイズも倒れているからやっぱり霧子の想いが鍵か!と思ったのだけど、あれうまいミスリードですね。ドライブマッハゼロノスは爆発してるけどファイズだけ倒れてはいるけど爆発してないんですよね。炎の中=爆発=死亡の仲間に手を伸ばしているようにも見える。やっぱりファイズだけずっと死んでいなかったのだ。爆発=死亡の公式を作った特撮の歴史は偉大。ミスリードの勝利ですね。

 ループのためにショッカーは巧以外の誰かを殺そうとする。誰も死なせたくないと思っているのに、その想いこそが仲間を殺すことになっているだなんてエグい・・・。記憶はループを繰り返すうちにはっきり残るようになったみたいだし、自分が何度も死んだり、仲間が死ぬところを何度も見たり、エグいシステム。

 

 GP世界ではライダーは洗脳を受けショッカー側にいるショッカーライダーか自分を失わないでいる正義のライダーがいる。前者は剣組で後者は南光太郎や侑斗。進ノ介は始めショッカー側だったけど光太郎と出会い正義側へ。巧はどちらともつかない独自のスタンス(byパンフ)。洗脳が効かなかったのか、洗脳されたけど目覚めたのか。すごいわかりにくい立場だと思うんだ。初登場時や洞窟では攻撃してきたと思いきや深追いしないし「飽きた」とか言うし。巧らしいといえばらしいけど、無理矢理理由を考えてみると、ショッカーは巧にマシンを動かしうる力があると気づいてあえて巧を洗脳はせず、でも仲間もいないあの一匹狼の立場に追い込んだのではないか。洗脳してしまったらその力=想いや意思が消えてしまうかもしれない、だからといって反乱する力を与えず、ショッカーが征服した世界に疑問を持っても単独じゃどうにもならないようにする、とか。

 

 

・シグナルバイクとショッカー首領

 GP冒頭で霧子のホルダーにシグナルバイクがくっつき、歴史改変後の世界でも霧子は記憶を失っていなかった。同じくGPで出てきた時の剛もTVとほとんど変わらなかった。もしかしたらシグナルバイクには歴史改変への耐性、守る力があるのでは?それが不完全だったから記憶のみ守られた、とか。でも4号だとシグナルバイクを持っている剛の記憶も書き換えられているんだよな・・・。マシンを再起動し修復した時点で特定のシグナルバイクのみに耐性があるように改良した、というのはどうだろう。それが4号2話冒頭で現れ、首領が持っていたシグナルファイズ。2話冒頭でなぜ現れたのかはわからないけど、シグナルファイズを持っていたから首領とショッカーはループから外れていた、と解釈してみる。

 GPの前日譚であるニンニンドライブコラボで、ショッカーはロイミュードに接触している。だからシグナルバイクの技術を持っていた。そして巧の姿をした首領は、ショッカーが作ったイレギュラーなロイミュードに近い者、かもしれない。記憶をコピーしたり人間の感情を学習して超能力を身につける。その超能力が歴史改変であり、マシンの本体(アクセルを壊したらマシンが壊れたということはそうかな)であった。思考をコピーしているから、首領のしようとしていること=もう1度生きるということは巧の潜在的ながら強い願いだ。そのために自分の生きれる世界→ショッカーの支配する世界を作るというのは歪んでいるけれどロイミュードやイマジンのようだといえばそうだ。生きたい、そんな強い想い持っていることを目の当たりにして進ノ介は「やっぱり考え直さないか?」と言ったのかなぁ。

 

 

・555オマージュと本編のあれこれ

 まずOPから555ぽい、やたら555オマージュがたくさんあるなぁと思ったらたっくんが主人公でこういうことか!といい意味で裏切られた。監督は555の助監督だし竹内くんは平成1期を見て育った555ファンだし、竹内くんとファンへのサービスかなと思っていたらちゃんと本編を見ると意味がわかるオマージュだった。

 3話で巧が寝転がっていた555本編ラストと同じあの土手。たくさん傷ついて、失って、戦った。戦いが終わってやっと真理と啓太郎とほっと寝転がったあの土手で、3度目の決意をする。もしかしたら2度目の死を迎えたかもしれないあの土手。本編の映像まで使って明確に「555本編と同じ運命をたどった後の巧」を描くのはずるい。当時見せなかった手のひらまで見せて。崩れる手のひら、4号の巧はあの土手で力尽きたのだろう。あ、回想のあの土手には真理と啓太郎がいなかった。人の映像を使ってしまうと色々面倒だからだろうとは思うけど、もしかしたらあの日からしばらくして1人であそこで力尽きたという解釈もできるのか。巧は狼なのに猫っぽいから、最期は人に見せないで静かに去ってしまいそうな儚さがある。

 海堂は髪型以外ほとんど本編と変わらなくて、この人が海堂しているだけど555の世界にぐっと近くなる。さっき巧は霧子の悲しむ姿に影響されていたんじゃないか、と書いたけれど、海堂も同じ理由で巧を止めていたのかもしれない。オルフェノクトリオの中で唯一生き残り、この世界ではもう1人のオルフェノクの仲間である巧も亡くした。もちろん海堂本人も悲しんで寂しかっただろう。だけど海堂以上にずっと巧と暮らしてきた真理や啓太郎はもっと悲しんだに違いない。海堂が恋した少女と友人、2人が悲しむ姿が海堂の心の奥に刻まれていて、生き返った巧になおさら今度は生きて欲しいと願ったのかもしれない。

 海堂も服は当時のままだったけど、巧も本当に当時使っていた物らしい。ライダー大戦でもあのコートは着ていたけど、体型の変わらない半田さんも東映の保管もすごい。4号の結末を見てしまうと、“同じ衣装・同じ髪型”というのが違う意味に見えてくる。撮影時期は年末年始くらいだが作中の設定は4月4日だ。でも巧の服だけやけに冬服っぽい。それは巧が“あの日”から時間の止まった存在だったからだとするとしっくりくる。自分が時間を繰り返す原因で、既に死んだ存在だと気づいたあの土手から、555最終回と同じ片襟がレザーの黒いPコートになる。平成1期の終わるのが冬だからあるこの風景的な切なさが本編と重なってすごくいい・・・。

 そして555といえばあのモアレ。555本編では人間とオルフェノクの境界の象徴であり、EDではモアレの破れた中、オルフェノクである巧と人間である真理と啓太郎という小さいながらもオルフェノクと人間が共存する世界の象徴だった。4号のモアレは生者と死者の境界線だったのかなぁと思う。あの破れたモアレから覗く世界は、巧が生きていける、進ノ介と剛と侑斗と霧子という新しい仲間といっしょにいることができる、狭い世界だった。歴史が戻っても、4号時空の中ではドライブ組と侑斗のつながりも、この世界も消えていない。

 

 

 書きたいことを書いたらとっちらかって読みづらくなったけど気にしない!

仮面ライダー4号は「私のスカイサイクロンがああああ!!!」な仮面ライダー4号と平成仮面ライダー4号、仮面ライダー555乾巧。「仮面ライダーは3度死ぬ!」はGP~1話で3度死んだ剛と幼少時、555本編後、そして世界を守るためにもう1度死んだ乾巧。黒井も巧も自分を犠牲に世界を救った。who's That Guyも聞いてると巧にも合うように思えてくるしtimeはまさに仮面ライダー4号での乾巧だった。CD買おうと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

たっくんどこでもいいからしあわせになってくれ!!!!!!

最近のドライブ見てると剛が不憫すぎてそばにたっくんや侑斗がいてくれたらなんとかなるんじゃないかと思ってきた。もう4号時空でいいからみんなしあわせにならないと許さないからな。特に剛はしあわせにならないと4号で頑張ったのはなんだったんだってなるよパラレルだろうと。本当にしあわせになれ。